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わたらせがわ

渡良瀬川

大鹿 卓

線上閱讀大鹿 卓《渡良瀬川(わたらせがわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 280,528 字 · 557 頁

青空文庫

文字も自ら正造の心の裡をつたえて激しかった。

翌朝になるとまた別の情報を齎すものがあった。それらを総合して、雲龍寺出発から館林に至るあいだの事情も、ほぼ輪廓がついてきた。だが、その朝の新聞に、地方官から内務省へきた電報が載っていたが、それとこれとは非常に内容が喰いちがっていた。暴民とか暴漢とか、被害民がいかにも暴行を働いたように報ぜられていた。無論それは信じられぬことであったが、正造は一人々々に新聞を示し事実をたしかめ、その度にまた憤慨をあらたにするのだった。

人々の話をつぎ合せるとこうである――

十二日の夜更け、もう家人はみな寝静まった頃である。沿岸の寺々で打ち出す梵鐘の響きが、夜風に乗って陰気なひびきを伝えた。かねてそれを合図と示し合せてあったから、やがて一日分の握飯と一升の乾飯をたずさえ、簑笠や毛布をまとって、彼等はそれぞれ家の閾を離れた。ここの軒下、あそこの木陰と、黒い影がぬけだしてきては、吸い寄せられるように寄り合い、五六十人の一隊となって、雲龍寺さして急いだ。

雲龍寺の広庭には、そうした人数がおいおいと集まって、午前一時頃には六七百名に達した。