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かせいのまじゅつし
火星の魔術師
蘭 郁二郎
線上閱讀蘭 郁二郎《火星の魔術師(かせいのまじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 151,120 字 · 302 頁
と、口の端まで言葉が出ながら、それは声とはならなかった。ただ口がぴくぴくと顫えて歪むと、なぜか泪がはらはらと落ちた。
「あら、どうしたの……」
「ううん、一寸、痛かったんだ、足が……」
黒吉は顔を外向けた。
足ではない、胸の中が張りさけるほど痛かったのだ……。
しばらくして、黒吉は、やっと向きなおった。
「由っちゃん、済まなかったね、時々見舞いに来てくれたんだろう……何処へも行かないのかい」
「あら、済まないなんて、やだわ。御見舞いに来んのあたりまえじゃないの……あたし、黒ちゃんが可哀そうだし、それに――」
その最後の言葉は、口の中で消えてしまったけれど、それでも充分意味が解った。
「由っちゃん、親切ありがとう……だけど俺もう、俺はもう前よかもっともっと醜なくなっちまったんだよ……おまけに片足の跛足とくらア……ふっふっふ」
黒吉の声も、上滑って、かすれていた。
「知ってるわ……だから、一層同情しちゃったの……」
「ふん、生いってらア」
「いいの、いいのよ、あたし、あなたの気持が好きなの――顔なんか、跛足なんか――」
由子は、流石に、一寸顔を赭めて、横を向いた。