輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
かせいのまじゅつし
火星の魔術師
蘭 郁二郎
線上閱讀蘭 郁二郎《火星の魔術師(かせいのまじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 151,120 字 · 302 頁
老人は、研究室を出ると、又先きに立って危っかしい階段を上りバー・オパールへ戻って来た。
オパールに来ると、木美子が独りぽつんと何か考えごとをしていたらしかったが、老人の姿を見ると、びっくりしたように掛けていた椅子から立った。
「おお、木美子、あのミケランジェロを持って来ておくれ」
「はい……」
呟くようにいった彼女は、急ぎ足で奥に行ったが、その時、慌てていたせいか不思議なことには手足を普通に振っていた。が、次に画をもって帰って来た時は、先程のような、右手右足の妙な歩き方になっていたのである。
「さあ、これじゃよ」
鷲尾老人は、そんなことには気づかぬらしく、古ぼけた画を私の前に拡げた。それは額縁入りの五十号位の画であった。
私は、ミケランジェロの画といえば、肉体の群団による壮大なリズムの創生と、そのためには細かい所や色などを最小限に制限したもので、同時代のラファエロの優雅さとは正反対のものである――という程度の知識しかなく、勿論今日まで実物など見たことはなかったのだけれど、さて、鷲尾老人が、この森閑として仄暗いバー・オパールの壁にたてかけて見せたその画は、なるほどミケランジェロのものかも知れぬ、と思われるような、寧ろ何処かで見たようを肉体群像のものであった。