輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

線上閱讀梅崎 春生《狂い凧(くるいだこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 頁

青空文庫

ことに城介は彼が嫌いであった。

その夕方、城介は風呂に入った。ドラム罐ではなく、甕風呂である。ドラム罐の湯は荒々しいが、甕のは当りがやわらかで、彼等は気に入っていた。それから戦友五人と酒盛りが始まった。酒は白酒である。

城介たちは徴発した民家に居住していた。その一棟には、五人しかいなかった。総員酒好きであった。と言うより、酒好きがその一棟に集っていたと言うべきだろう。宿舎の割りふりも、ほとんど彼等の意志によるものだったからだ。

酔うにつれて、話はいくらでも出た。故郷の話。香港の思い出。女やバクチの話。

その中城介は部屋を降りて、土間にかけた雑嚢の中から、自分の掌に白い粉末を取出し、宴席に戻って来た。アスピリンに似た結晶粉末である。城介は皆の見ている前でそれを口に含み、一気にパイチュウで嚥下した。

「何をのんだんだい?」

加納はそれを見とがめて言った。

「何でもないよ」

城介は答えた。むしろ浮き浮きした口調であった。

「どうせこわれた体だよ。この方がよく効く」

すぐ話題が別に移ったので、粉末のことはそれで済んだ。その夜は歌をうたったりして、皆すっかり酔って寝た。