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びしょうじょいちばんのり

美少女一番乗り

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《美少女一番乗り(びしょうじょいちばんのり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 73,583 字 · 149 頁

青空文庫

「聞いたか皆の者」景勝は膝を打って言った。

「治にいて乱を案ずるは武人のたしなみ、左内こそ余が天下に誇る家臣だぞ、――見よ、日ごろ彼を『稗野吝内』と嘲っていた者たちは、武士一期の大事に臨んで、嘲り嗤った左内からかえって救いあげられたのだ。景勝ばかりではない、今度こそ会津家中の者は挙って、岡野左内に冑を脱がされたのう」

そう言って景勝、明るくはればれと微笑しながら立上がった。

「評議は終わった、出陣は三日後と触れよ。座を変えて祝宴としよう」

「それでは左内が猿楽を寄進仕ります」

「ほう、そんな支度があるか?」

「は、――」左内は苦笑して、

「すべて遊楽の類は、戦争が起こると雇人のなくなるもの、それゆえ常よりはずっと安く雇えまするから、これ幸いと集めましてござります」

「安く雇えるから猿楽を集めた?」

景勝はわっと笑いだした。

「こいつ――左内、なるほどそちは、どこやら吝内の素質があるな。わははははは、猿楽を安く雇うなどとは、天下にそちが始めてであろう、わははははは」

左内も思わずふきだした。列座の人々も始めて、甦えったように、体をゆすって、声高々と笑いどよめいた。