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びしょうじょいちばんのり
美少女一番乗り
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《美少女一番乗り(びしょうじょいちばんのり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 73,583 字 · 149 頁
二
「はい、すみません」
「それから、こんなことは誰にもおしゃべりをするんではありませんよ」
そうたしなめておいて椙江は去った。
ここは播州姫路の城下、八重樫主水の道場である。主水は古中条流の剣法をもって当代の達人と言われる人物、家臣でこそないが領主池田侯から年々五百俵ずつ手当てを受け、家中の武士に指南をしている。もっともこれには条件があった。それはいわゆる「お止流」といって、姫路藩以外の者に古中条流を伝授してはならぬという固い禁制があったのだ。
椙江は八重樫主水の一人娘で、年ようやく十九歳、才智に秀でているうえ、城下町で評判の美しい縹緻をもっていたが、老年になった父をよく助けて、七人の内弟子と下女下郎の一家を、娘の手ひとつに切盛りしていた。
「――道楽……本当に道楽かしら」
椙江は自分の居間へ戻ろうとして広縁まで来たが、ふと小首を傾げて呟いた。
「欠け茶碗、欠け皿、そんな物を集めて眺める道楽なんて、話に聞いたこともない。――みんなは半化けなどと言っているが、どうもあの又平はただの下郎とは……」
と呟いていると、庭の方でどっと笑い囃す声が起こった。
二
横庭のところで、又平は四、五人の内弟子につかまっていた。