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びしょうじょいちばんのり

美少女一番乗り

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《美少女一番乗り(びしょうじょいちばんのり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 73,583 字 · 149 頁

青空文庫

三

といいかけて千草は、

「あ! 血、血がついて――」

「それです」

小平太は静かにいった、

「拙者の家の下男が釣好きで、昨夜溜池へ出掛けて行ったのですが、地蔵堂の側の叢からこれを拾って来たのです、――懐中物を取落とすような数馬ではないし、もしまた落としたとしても、何もいわずに国表へ出立するはずはないでしょう、しかもこれには血がついている」

「兄は斬られたのです」

千草が小平太の言葉を遮って呻くようにいった。

三

「思い当たる事でもありますか」

「実は一昨日の事なのですが、殿の御用で行くまえに一度家へ立寄りましたの、その時わたくしに、御家中の様子を語りまして、――自分は相良様に狙われているから、事によると闇討ちにされるかも知れぬ……と申しておりました」

「やっぱりそうですか、拙者も実はそれを心配していたのですが――」

「でも、もし闇討ちになったとしましても」

千草は気丈な口調でいった。

「千草は少しも悔やみは致しませぬ、兄の死は無駄ではございません、きっとお役に立つ事と存じます」

「その覚悟を聞いて小平太も安心しました。拙者は少し気づいた事がありますから、これから麻布様(頼母)の中屋敷へ行って来ます、何かあったらまたお知らせに来ますから」