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びしょうじょいちばんのり

美少女一番乗り

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《美少女一番乗り(びしょうじょいちばんのり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 73,583 字 · 149 頁

青空文庫

三

築山を廻って横庭へ入る。左は竹藪で右へ曲がると物置がある、……その裏手にぼうっ、と紙燭の光がさしていて、一人の男が、今しも木剣を大上段に構えているところだった。

三

「――あ、又平」

椙江は思わず低く呟いた。さよう、木剣を振りかざしているのは下郎又平である。そして足許には薪割り用の台があって、その上に欠け皿がひとつおいてある、――どうするかと、眸をこらして見まもる刹那。

「――えィ……」

紙燭の光をきって木剣が閃いた。はっと椙江が息をひいて見る――と、戛ともいわず、台上の欠け皿はすっぱりと両断されていた。

「まあ……お見事」

思わずあげた賞讃の声に、

「だ、誰だ」

と振返った又平、そこに椙江の姿をみつけると仰天したらしい。慌てて木剣を隠しながらぺこりとお辞儀をした。

「お見事でした」

椙江は近寄って言った。

「木剣の一撃で大皿を、まるでお豆腐のようにお切りなすった秘術――あれこそ古中条流『忍び太刀』の一手でござりましょう」

「な、何と……」

「下郎に姿こそやつしても、まことは名ある御方とお察し申しました。仔細あれば他言は致しませぬ。どうぞお打明け下さりませ」

「えへへへ、どうも、えへへへへへ」