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びしょうじょいちばんのり

美少女一番乗り

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《美少女一番乗り(びしょうじょいちばんのり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 73,583 字 · 149 頁

青空文庫

二

あの乱暴な慶太郎の奴」

「いけないよそんなことをいっては」

金之助は急いでさえぎった。

「たとえ無理なことをしたって若様は御主人なんだ。おれだってくやしくないことはないけど、若様は世間知らずで何もわからないんだから仕方がないのさ。まるでまだ赤ん坊なんだよ、……それに旦那様はよく御存じなんだ。それでいいんだよ」

「あなたは我慢強いのねぇ」

お奈々は感心したような、また少しばかり非難するような声でいった。

「あなたは今にきっと偉い人になるわ。あの若様なんかあなたの馬の口を取る値打もないほど偉い人に!」

「有難うお奈々ちゃん、おれは……」

いいかけたけれど、金之助はそのままあとをいわずに侍部屋の方へ立去った。

二

「金之助、どうかしたのかえ」

寝床に横になって足をもませていた母親のおむらが、ふと眼を明けていぶかしそうに振返った、――金之助はあわてて微笑しながら、

「いえ、どうも致しません」

「隠さなくともいい、また若様にいじめられたのであろう」

いいながら、おむらは足首へ手をやってそっと拭った。金之助の涙が落ちたのである。

「そんなことはありません、私はただ」

「いえ知っています、昼間お奈々さんが来てすっかり話して行きました――金之助、おまえさぞくやしかったろうねえ」