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びしょうじょいちばんのり
美少女一番乗り
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《美少女一番乗り(びしょうじょいちばんのり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 73,583 字 · 149 頁
三
金之助は物置へ入って、大きな笊と鍬とすくい笊を取出してきた。貧しい家の暮しを助けるために、豊川の蜆をとって海道へ売りに出るのが、毎朝かかせない二人の仕事であった。
三
春まだ浅き二月はじめ、水は氷のように冷たかった。
ひっそりとして鳥影も動かぬ磧に朝靄が低くただよい、はるか下流にある堰の水音が、川波の上をさむざむとひびいてくる。――金之助が鍬ですくい笊へかきこんで揚げる小砂利まじりの蜆を、岸にいるお奈々がせっせとえり、二つの大目笊へ分けて入れる、その手許からいつか夜は白々と明けて行った。
「金之助さん」
ふとお奈々が顔をあげていった。
「あなたはいつか、京へ行きたいっていったことがあるわね」
「――え!」
ちょうどそのことを考えていたところなので、金之助はぎくっとしながら振返った。
「まだ今でもそう思っている?」
「……そう考えたこともあるよ、だけど――」
「今でもそう思っているなら、あたしいくらかお役に立つことが出来ると思うわ。あなたのお母さまよ、お母さまをあたしの家でお世話してあげたいの」
「有難う、うれしいよお奈々ちゃん」
金之助は微笑していった。
「京へ行きたいのはほんとうだ。