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びしょうじょいちばんのり

美少女一番乗り

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《美少女一番乗り(びしょうじょいちばんのり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 73,583 字 · 149 頁

青空文庫

五

…お弓どの、無理なお願いだが、山輿に乗せて大縄の出城まで運んで頂くわけには参るまいか」

「さあ――」

「一生のお願いです、この通り」

頭を下げて必死の頼みだった。――高山城の姉小路家は、永年のあいだ摩耶谷の一族を保護している人だ。父に話したら許して貰えるかも知れない……お弓は決然と立った。

「宜しゅうございます、父に相談したうえぜひともお望みに添うように致しましょう、すぐに戻って参りますから」

「――忝ない」

「五郎」

お弓は振返って、

「おまえお側を離れずに番をおし、どんな者が来ても兵馬さまをお護りするのだよ、わかったわね」

熊はいかにも心得たように、首を振りながら身をすり寄せ、妙に哀しげな声をあげて二声三声ほえた。

「頼んでよ!」

と言ってお弓は外へ。

五

岩窟を出て、檜の森を四、五町あまり下った時だった。背後に、

だーん、だーん。

と二発の銃声が聞こえたので、お弓はぎょっとしながら立止まった。風のない静かな黄昏で、密林の中は森閑と鎮まっている、――しばらくじっと耳を澄ましていると、

「うお……、うお……」

という悲しげな獣の悲鳴が森に木魂して聞こえて来た。

――五郎!