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びしょうじょいちばんのり

美少女一番乗り

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《美少女一番乗り(びしょうじょいちばんのり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 73,583 字 · 149 頁

青空文庫

「――その方は何者じゃ」

「姫君の侍女にて千草と申しまする」

「うむ、……この遺書が偽であると申したが、それでは真の遺書がほかにあると申すのか」

「はい、たしかにございます」

千草は落着いた声で答えた。

「ではそれを見せい」

「畏まりました、――どうぞどなたさまか、お姫さまに和蘭人形を持ってこれへお越し遊ばすよう、申し上げて下さいませ」

「計らってやれ」

幕府の老中として重きをなす内膳正のお声がかりである、外記は仕方なく若侍の一人を奥へやった。――待つほどもなく、満里子姫が両眼を赤く泣腫らし、老女に和蘭人形を持たせて上段へ現れた。

「御老女さま、――」

千草は待兼ねたように、

「どうぞ人形の帯をお解き下さいませ」

という。――老女がいわれるままに人形の帯を解くと、友禅振袖の上衣の下から、はらりと一封の書状が落ちた。

「あ、――これは」

「申し上げます、それこそ真の御遺言書でございます、どうぞお検め下さいまし」

内膳正が受取って仔細に検べてみると、こっちの遺書には文言の終りに頼宗の自筆の花押がある、――前のものには「頼宗」と名を書いて血判が押してある。

――瀕死の病人が血判をするはずはない、しかも家臣に与える遺言に、主君たる者がどうして血判をしよう。