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びしょうじょいちばんのり
美少女一番乗り
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《美少女一番乗り(びしょうじょいちばんのり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 73,583 字 · 149 頁
「剣でなくとも国を治めることは出来ると思います」
鶴千代はきっぱりとそう答えた。
蒲生氏は藤原秀郷の末孫で、代々近江の日野を領している名門の家だったが、戦国の世になって次第に四方から圧迫され、永禄十一年ついに織田信長の軍門に降ってその旗下となった。……それと同時に鶴千代は日野城を離れ、人質として岐阜城の信長の許に来たのだが、非常に頭のよい利発な少年だったので、信長からこの上もなく愛され、南化和尚のいったように、やがては信長の息女を嫁にする約束まで出来ているほどであった。
鶴千代は幼いころから学問が好きで、馬に乗るよりも歌を詠み、戦術を学ぶより文字に親しむという風であった。もとより才分があったから、学ぶほどに上達も早く、歌の会などに出るとみごとな作を出して、しばしばその道の人を驚かした。
――蒲生の鶴千代どのは秀才だ。
――いまに立派な学者に成るであろう。
――いや歌人として名を挙げるに違いない。
そういう評判を聞くたびに、まだ十三歳の鶴千代はひそかに胸を躍らせていたのである。
そこへ斎藤内蔵助という人が出て来た。そして世間の人々とはまるで違った言葉で、鶴千代を批評した。