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びしょうじょいちばんのり

美少女一番乗り

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《美少女一番乗り(びしょうじょいちばんのり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 73,583 字 · 149 頁

青空文庫

そして五百の手勢を藪の中に伏せて待つことしばし、果して伊賀勢は負け戦になった。木戸を開いて討って出た敵兵のために、切崩されたなと見る間もなく浮足だってゆらゆらと敗走し始めた。

忠三郎は待っていた。

伊賀勢が眼前を逃げて行く、敵兵は遁さじと追詰めて来る、それでも忠三郎は辛抱づよく待った。そして、追撃して来た敵の軍勢が半ばまで通り過ぎたとき、

「かかれ!」と馬上に太刀を振って叫んだ。

「生きて帰ると思うな、我と共に死ね」

待ちに待った五百騎は、声に応じて雪崩のごとく押出した。……馬を煽り、太刀を抜いて、敵兵の真ん中へ弾丸のごとく突込んだ。

太陽は灼けつくように照っていた。

濛々たる土埃が戦場を蔽い隠した。その黄色い土煙の中に太刀が飛び、槍が閃いた。馳駆する騎馬、討合う軍兵、敵も味方も入乱れて、雄叫びと鬨の声と、さながら荒れ狂う怒濤のような白兵戦になった。

然し戦は忠三郎のものだった。

追討ちに深入りし過ぎた敵兵は、不意にその横から奇襲を受け、中央を破られて混乱に陥った。それでもしばらくは防戦を続けたが、必死を期した蒲生勢の奮戦はすさまじく、ついにはさんざんに斬りまくられて総崩れとなった。