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びしょうじょいちばんのり
美少女一番乗り
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《美少女一番乗り(びしょうじょいちばんのり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 73,583 字 · 149 頁
三
――幸福はひとりで来るが不幸は友を呼ぶという、十三の今日まで世の悲しみも苦しみも知らず、気随気儘に仕合せな日を送って来たお通が、生まれて始めての不幸な出来事に胸も潰れるかと泣き悲しんでいる時、もっともっと大きな不運が続いてこの家を見舞っていた。
それはその日から二日めの事であった、お通が清吉と一緒に庭を歩いていると、
「お通さま、お通さま」
と、小僧の定二郎が呼びに来た。
「旦那様がお呼びです」
「あたしに御用なの?」
「ええ大変な事が出来たんです、薩摩様からお侍が見えて、旦那様をつれて行くと言って騒いでるんです」
何事が起こったのだろう、薩摩の島津家といえば永年お出入りのお屋敷である。なんのために父をつれて行こうと言うのか。
「奥座敷ですから早くいらしって下さい」
「すぐ行くわ、おまえ清吉をみていておくれ、ひとりで置くと危ないから気をつけてね」
「はい、――」
お通は小走りに縁へあがると、不安な胸騒ぎを感じながら奥座敷へ入って行った。
三
奥座敷の上座には、島津家の用人津田直記と、納戸役貝原左膳、秋山省兵衛の三人が坐っていた。――主人の治兵衛はその前に、番頭の藤兵衛、手代の与吉と共に畏まっていたが、お通が入って来ると、