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びしょうじょいちばんのり
美少女一番乗り
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《美少女一番乗り(びしょうじょいちばんのり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 73,583 字 · 149 頁
「話す事があるからここへお坐り」
そう言って側へ坐らせた。
「こちらにいらっしゃるのは島津様の御家来方で、おまえもお顔は知っていよう。これから話すこと気を落着けてよく聞くのだ。――ちょうど四十日まえの事だったが、この津田様がお見えになって、島津様御家宝の冑をお預けになった」
「拙者が話そう」
津田直記が遮って言った。
「その冑は三百年このかた薩摩家門外不出の家宝で、宋朝伝来の二つとない品であるが、久しく手入れをしなかったので、四十日の期限をもって当家へ塵払いを命じたのだ。しかるに今日受取りに参ると、その冑が紛失しているという話なのだ」
「ととさま、それは本当ですの?」
「――本当なのだ」
治兵衛は苦しげに眼を伏せて、
「大切なお品ゆえ誰の手にもかけず、わたしが預かって丁寧にお手入れをしていたのだが、一昨日の朝、土蔵から出そうとすると、唐櫃の中は空らで……冑がない」
「まあ!」
「外から盗人の入った様子もなし、番頭の藤兵衛と一緒に家中隅から隅まで捜したが、どこにもみつからないのだ」
「先日も参って堅く藤兵衛に申し附けた」
直記は番頭を睨んで、「大切なお品ゆえ万々間違いないようにと、くれぐれも念を押したのにこの不始末、拙者の役目として切腹しても相済まぬ重大事だ。