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びしょうじょいちばんのり

美少女一番乗り

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《美少女一番乗り(びしょうじょいちばんのり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 73,583 字 · 149 頁

青空文庫

兵馬は歯を食いしばりながら呻くように言った。

尾根下の灌木林ではからずも救った武士。他国の人にふれる珍しさと、重傷の身を気の毒に思ったお弓は、ひそかに熊の岩窟へかくまって、それから毎日毎日、食物を運んだり傷の手当てをしたりしてやるのだった。

ちょうどそれから五日めの事である、例の通り薬を塗り替えたり食事の世話をしたりして、また明日と――岩窟を出たお弓が、

「五郎、お客さまの番をよくするのよ、間違いのないようにね、頼んでよ」

繰返し熊の五郎に言い残して別れた。

岩を廻って外へ、茨の多い藪の中を、檜の森の方へ下りようとすると、向こうの木陰から鉄砲を持った若者が現れて、

「お弓さま、何をしていなさる」

と声をかけた。

「え――?」

お弓がびっくりして振返ると、大股に近寄って来たのは乱暴者の村井伝之丞だった。

「まあ伝之丞じゃないの、いきなり呼ぶものだから驚いたわ」

「何をしにいらしった」

「何ッて、――お、お薬草を採りにだわ」

「採れましたか」

伝之丞は鉄砲の台尻を叩きながら、妙なにやにや笑いをして言った。――お弓は常からその若者が嫌いだったので、

「採れても採れなくてもおまえの知った事ではないよ。