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そうもくちゅうぎょ

艸木虫魚

薄田 泣菫

線上閱讀薄田 泣菫《艸木虫魚(そうもくちゅうぎょ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,254 字 · 226 頁

青空文庫

マッチの火

そして窮屈な靴をぬいで、スリッパに穿きかえるのを何よりも楽しみにした。

こんな日が重なるにつれて、良人の悪い癖はいつのまにか治っていたそうだ。

女の抜目のない利用法にかかったら、どんな男でも羅紗の小片と同じように、ただ一つの材料に過ぎない。女はそれが手提袋を縫うのに寸が足りないと知ったら、代りに人形の着物を思いつこうというものだ。――滅多にあきらめはしない。

マッチの火

これは露西亜の片田舎にある一軒屋で起きた事柄だ。――

ある独身者の農夫が、寝しなに自分の義歯をはずして、枕もとのコップの水に浸しておいた。すべて義眼や義歯をはめている人たちは、よくこうしたことをするものなのだ。

その夜はひどく寒かった。朝起きてみると、戸外は大雪だった。農夫は義歯を取り上げようとして、初めてコップの水がなかに歯を抱いたままで、堅く凍りついているのに気がついた。

氷を溶すには、さしあたり火をおこすより仕方がなかった。彼は台所に下りてマッチを捜したが、間が悪いときには悪いもので、唯の一本もそこらに見つからなかった。

ちょうど暁の五時で、農夫は義歯のない口では、朝飯を食べることもできなければ、また人と話をするわけにも往かなかった。