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ずいひつ みやもとむさし

随筆 宮本武蔵

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《随筆 宮本武蔵(ずいひつ みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,786 字 · 278 頁

青空文庫

二天記はまた他家へも盛んに伝写されたとみえ、小倉本、異本二天記などという別本もある。小倉には、武蔵の養子宮本伊織が家老をしていたので、宮本玄信伝が写本で伝えられたし、宮本氏系図があるし、なお史料として重要な武蔵の碑文がある。

文献としての古さだけからいえば、この碑文がいちばん武蔵の生前に近いのである。武蔵が死んで九年目に、養子であり小倉藩の家老であった宮本伊織が自身で建てたものであるから。――ところがこの碑文にさえ間違いや錯誤があって、僕らの採る文献価値は甚だ乏しい。

武蔵の二天流の剣道をうけ継いだという吉田実連の実話を、丹治峯均が書いた、兵法大祖武州玄信公伝というのは、前の二天記とほぼ同時代に流布されたもので直木が引例に、丹治峯均筆記といっているのはこの書のことだ。

幕末の横井小楠が一読して、

「武蔵を伝して、先人未発の識見」

と賞めたのは、荻昌国の武蔵伝である。これは伝というよりは論評であって、武蔵の志業と人格に重点を措き、小楠の言のとおり二天記や墓碑よりもずっと彼の人間へ迫っている。荻昌国は角兵衛といって、やはり熊本の藩士である。

林羅山や平山子龍なども、断片的な論賛逸事などを誌しているが、彼の生涯を補足する足しになるほどな文字はない。