輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《雪国の春(ゆきぐにのはる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,000 字 · 266 頁
、なお正月はすなわち春と、かたく信じてかわらなかったのである。
東京などでも三月に室咲きの桃の花を求めて、雛祭りをするのをわびしいと思う者がある。去年の柏の葉を塩漬にしておかぬと、端午の節供というのに柏餅は食べられぬ。九月は菊がまだ見られぬ夏休の中なので、もう多くの村では重陽を説くことをやめた。盆も七夕もその通りではあるが、わずかに月送りの折合いによって、なれぬ闇夜に精霊を迎えようとしているのである。しかし正月となるとさらにいま一段と大切なる賓客が、雪を踏み分けて迎えられねばならなかった。正月さまとも歳徳神とも福の神とも名づけて、一年の福運を約諾したまうべき神々がそれであった。暦の最初の月の満月の下において、ぜひとも行われねばならぬ儀式がいくつでもあった。人も知るごとくこれらの正月行事は、一つとして農に関係しないものはなかった。冬を師走の月をもって終わるものとして、年が改まれば第一の月の三十日間を種籾よりも農具よりも、はるかに肝要なる精神的の準備に、ささげようとしたのであって、すなわち寅の月をもって正月と定めた根源は、昔もやはり温かい国の人の経験をもって、寒地の住民に強いたことは同じであった。