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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《雪国の春(ゆきぐにのはる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,000 字 · 266 頁
炬燵というむつかしい二個の漢字は、たぶん五山の禅僧の一人の、発明であろうという説がある。そうかもしれぬが文字よりもその言葉の意味が、コタツの趣意以上に不可解であって、事によるとこの制度の滅亡以前には、その歴史を明らかにすることが困難であるかもしれぬ。しかし名称のごときはどうあってもよろしい。それよりもさらに大切なるは、何ゆえにこんな奇妙なものが、いつごろ誰によって創成せられたかであるが、これは単なる常識から判定をして、掛けてある四角な蒲団と称するものよりも、より古く存在しえなかったことは明白である。
蒲団がわれわれ日本人の夜具の一種になったのも、やはり中世以後の事でなければならぬ。その証拠にはこの語もまた支那の宋代あたりの音で、別にこれに対する固有の日本語はなかったのである。
フスマ(衾)というのは大形の衣服のことであった。ヨブスマというのは、全身を蔽い包むほどの大きな藤布製などの夜具のことで、妖怪のヨブスマもそれから出た名かと思う。近いころまで山村で使用していたのは、いずれも袖がありまた襟があった。こんな形の衾の下には、コタツはとうてい発達しえなかった。