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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《雪国の春(ゆきぐにのはる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,000 字 · 266 頁
横座とはいってもそれが正面の席であって、事実はその左右の敷物がいずれも縦に連なっているに対して、家長の座だけは横畳に敷いてあるゆえに、そういう名前が古くから生じていたのである。
通例は向かって炉の右手、すなわち横座から左になる一側を、嚊座もしくは茶飲み座、腰元または勝手などとも呼んでいる。その最も横座に接近した席は、当然に主婦に専属した。ヘラすなわち飯匙はその権力の象徴であり、食物の分配はただヘラ取り、すなわちオカタ殿のみの掌るところであり、誤ってその席を侵したアネ子などは、それだけでも離縁せられるに十分な理由があった。
このついでをもってなお言うならば、嚊座と相対する他の一側が客座である。これにも席次があって最も歓待せらるべき者が、一番横座の右近くに坐った。同じく『続猿蓑』の俳諧の付け合いに、
聟が来てにつともせず物語り
などとあるのは、つまりこの辺の光景にほかならぬのである。それから残りのいま一側の炉端が、下座・下郎座または木尻である。嫁は木尻筋からもらえという諺などもあって、一段と身分の低いものの坐席である。これを津軽などでは転訛してキンスリ座ともいうそうだが、本来は薪の尻をその方へ向けておくゆえの名であった。