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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《雪国の春(ゆきぐにのはる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,000 字 · 266 頁
すぐれた生活を、見つけ出そうとする力が衰えたのである。
文学の権威はこういう落ち付いた社会において、今の人の推測以上に強大であった。それを経典呪文のごとくくり返し吟誦していると、いつの間にか一々の句や言葉に、型とはいいながらもきわめて豊富なる内容がついてまわることになり、したがって人の表現法の平凡な発明を無用にした。様式遵奉と模倣との必要は、たまたま国の中心から少しでも遠ざかって、山奥や海端に行って住もうとする者に、ことに痛切に感じられた。それゆえに都鄙雅俗というがごとき理由もない差別標準を、みずから進んで承認する者がますます多く、その結果として国民の趣味統一はやすやすと行われ、今でも新年の勅題には南北の果から、四万、五万の献詠者を出すような、特殊の文学が一代を覆うことになったのである。
江戸のあらゆる芸術がつい近いころまで、この古文辞の約束を甘受していたことは、微笑を催すべき程度のものであった。ようやく珍奇なる空想が入ってきて片隅にうずくまっていることを許され、または荒々しい生まれの人々が、勝手に自分を表白してもよい時代になっても、やはりロシアとかフランスとかに、何かそれ相応の先型の存在することを確かめてからでないと、人も歓迎せずわれも突き出していく気にならなかったのは、おそらくはまた永年の模倣の癖に