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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《魔術師(まじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 頁
そうとしか考えられぬ。では、彼等は、狙う玉村一家に間近い、この大森の町に、手品師と化けて入り込んでいたのか。
何と云う大胆不敵。若し文代の顔を見覚えているものがあったらどうするのだ。併し、考えて見ると、文代が怪賊の娘だと知っている人は、明智小五郎の外には、この世に一人もいないのだ。その明智小五郎は死んでしまった。そこで一見無謀に見える賊の手品興行も、実は安全至極な一種の隠れ簑に過ぎなかった。
そうとも知らぬ二郎の前に、幾幕目かの緞帳が捲き上げられた。
背景は一面の黒天鵞絨、舞台も客席も真暗になって、スポットライトの様な、青白い光線が、舞台の一箇所を僅かに照らしている中に、たった一つ、玉座の様に立派な椅子が置いてあるばかりだ。そこへ、燕尾服の説明者が現われて、前口上を述べる。
「ここに演じまするは、当興行第一の呼び物、摩訶不思議の大魔術、座長欧米漫遊の節習い覚えましたる、美人解体術でございます。あれなる椅子に婦人をかけさせ、座長自ら剣を執って、首は首、手は手、足は足と、切断致し、バラバラになった五体を組み合わせて、再び元の婦人を作り上げる、一度死にました婦人が、立上ってニッコリ笑いまするという、名づけまして、美人解体の大魔術にござります」