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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《魔術師(まじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 頁
と叫んで立ちすくんだ。
三次がいたのだ。あれ程探しても見えなかったのも道理、彼は源造が出て行ったあとへ、入れ違いに忍び込んで、気絶した文代を介抱していたのだ。見れば文代は正気に返って、三次となにかボソボソ話し合っているではないか。
源造はど胆を抜かれて暫くは言葉も出なかったが、それ丈けに怒りは二倍三倍になって爆発した。
「三次ッ、あれ程云いつけて置いたことを忘れたのか。なぜ俺に無断で文代を上陸させたのだ」
叫びざま、飛びかかって行って、三次の横面をはり倒した。と、思ったのだ。だが、源造の鉄拳よりも、三次の方が素早かった。彼はヒョイと身をかわして、空をうたせ、知らん顔をして突立っている。
汚れた菜っ葉服、まぶかく冠ったもみくちゃの鳥打帽、そのひさしの下から、機械の油で真黒になった顔がのぞいている。
源造は面喰った。日頃お人好しで薄のろの三次が、首領に敵対する気構えを見せたからだ。
「貴様、俺に手向う気か」
怒鳴りつけても、相手はどこを風が吹くかと、平気な顔で黙りこくっている。
変だ。何かしらあり得ないことが起ったのだ。こいつは決して日頃の三次ではないのだ。