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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(三)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 261,216 字 · 521 頁
「最前の地ひびきは、さては、このすさまじい音であった。地震ではなかったのじゃ」
竹屋卿がいうと、啓之助は、天変以上のこの禍いを見ながら、なんとなくホッとした気持で、
「さよう、地震ではなかったとみえます」
と、相槌を打って、殿の顔色をみた。
重喜はなお黙然としていた。
かれの心は、今もまだ、大きな地震の力をもって、渭山の城とともに揺さぶられている。
阿波守に、事多き日であった。
そこへ、船手組取次の早状が一通、近習の手をへてかれの前へ届けられた。
密封した書状の上紙には、木曾街道垂井の宿、御用飛脚屋むかでやの扱い印がベットリとおしてある。
「気分が悪い」
といって、重喜は、今手にとった早状を一読すると、それを三位卿に渡し、自身は近習の者と一緒に、望楼を下りていった。
「ム、一角の早打か。近頃は頻繁に様子を知らせてまいるな」
と、有村がそれへ目を落すと、啓之助もそばから顔をさしだした。
書信の文言は簡単である。しかし、少しも吉報ではなかった。
すなわち天堂一角が、阿州屋敷から助太刀に派遣された、原士の組と協力して、もちの木坂に法月弦之丞を待ちぶせした、その翌々日、垂井の宿で発したもの。