輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《あさひの鎧(あさひのよろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 頁

青空文庫

その松明の光に照らされ、切ってある炉の脇に坐りながら、乳がないので腹がすいて、泣き立てる嬰児を搖すりながら、彼女はうたっているのであった。

全山を圧して猿の声が、気味わるく聞こえて来る。

泣きそ、な泣きそ、和子よ和子よ、泣けばお山で猿も啼く。

でも嬰児は泣きやまなかった。

(どこかでお乳を貰わなければ)

窓から見れば谷を越した向こうに、どうやら家があるらしく、燈火の光が明るく見えた。

(あそこへ行ってお乳いただこう)

そう彼女は決心した。

彼女はやおら立ち上がった。

こんな厄介な泣く嬰児などを、あんなことから手に入れて、迷惑を感じているべきだのに、彼女は全く反対であった。

幸福を感じているのであった。

(わたしの子よ、わたしの子よ)

こんなように感じて幸福なのであった。

これまでの彼女の子供といえば、泣きもしなければ笑いもしない、生きた紐のような蝮ばかりであった。

それでも彼女はその蝮が、おとなしく懐中にトグロを巻いていたり、時々顔を出して自分を眺めたり、焔のような舌を吐くのを見ては、可愛いものに思われてならなかった。

それだのに今はどうだろう、こんなにも熱心に一生懸命に泣いたり、そうしていずれ腹がくちたら、とても可愛らしく笑ってくれるであろうところの、ホンモノの人間の嬰児が、自分のものになったのであった。