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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《あさひの鎧(あさひのよろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 頁

青空文庫

桂子は讃め言葉をお送りした。

なお焚火はトロトロと燃え、土釜からは湯気が薄白く立ち、風に煽られて病葉が、ひっきりなしに、散って来た。

今は野の宮はひっそりとしていた。

そういう境地に佇んで、遥かに野路を京の方へ、一団となって御歩きなされる、梨本御門跡様のご一行を、つつましく眺めている桂子の姿は、この野の宮の御神体が、仮りに女人に現われたようであった。

ふと桂子は眼を伏せて、さびしそうに呟いた。

「日野様別館には小次郎様も、今夜おいでになった筈だ。……妾の所へは来られないだろう。……妹が、浮藻、あのお方を、ああも恋しているのだから……恋! いいわねえ、何んていい……でも妾は封じられている! ……永久に恋は封じられている」

それは悄然とした姿であった。

ひっきりなしに病葉が散った。

意外の出来事に時を費し、土岐蔵人頼春が、小次郎を連れて日野別館から、三条堀川の自分の宿所へ、帰りの足を運んだのは、暁に間近い頃であった。

「兄上、大変でございましたなあ」

そろそろ水色を産み出しそうにしている、東の空を仰ぎながら、小次郎はそう頼春へ云った。

小次郎と肩を並べながら、これは空など仰ごうともせず、思案に余ったというように、足もとばかりを見詰めながら、黙々と歩いていた頼春は、