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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《あさひの鎧(あさひのよろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 頁

青空文庫

「大塔宮様御許へ!」

「樵夫小屋はあなたでござりまする! ……今は死んでいる二人の者が、向こうから参りましてござりまする」

「案内頼むぞ!」

と杖を突っ張り、ヒョロヒョロ、ヒョロヒョロと前へ出た。

とたんに一個の青光る物が、少し離れた木立の蔭から、唸りをなして飛んで来た。

「わッ」

と頼春は叫びを上げ、杖を投げ捨て地に仆れ、左の膝頭を片手で押えた。

「何者! ……汝! ……チ、チ、チッ……左の片足、膝から寸断! ……切ったわ! 砕いたわ! ぶち折ったわ! ……おおおおおお、血が流れ出る! ……快よや悪血が流れる! ……比叡の裏山で片腕斬られた、あの時さながらのこの快感! ……あッ、あッ、あッ、この快感……おお、さりながら遠くなる心よ! ……月が見えぬ! ……早瀬そちも! ……」

「頼春様ア――ッ、お心たしかに!」

嬰児を草にかいやり置き、早瀬は頼春に縋りついた。

「罪業深く、おおおお今度も、大塔宮様にはお逢い出来ぬか! ……無念! 心遠くなるわ! ……が、死なぬぞ! 死なぬぞ死なぬぞ!」

大弥太と左源太の二つの死骸の、その間にはさまりながら、頼春は次第に次第に次第に、気を失って行くのであった。