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すみだがわ

すみだ川・新橋夜話 他一篇

永井 荷風

線上閱讀永井 荷風《すみだ川・新橋夜話 他一篇(すみだがわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 44,378 字 · 88 頁

青空文庫

わたくしが初て小説『すみだ川』に筆をつけたのは西洋から帰って丁度満一年を過した時である。即ち明治四十二年の秋八月のはじめに稿を起し十月の末に書き終るが否や亡友井上唖唖君に校閲を乞い添刪をなした後草稿を雑誌『新小説』編輯者の許に送った。当時『新小説』の編輯主任は後藤宙外氏であったかあるいは鈴木三重吉氏であったか明に記憶していない。わたくしの草稿はその年十二月発行の『新小説』第十四年第十二巻のはじめに載せられた。わたくしはその時馬歯三十二歳であった。本書に掲載した当時の『新小説』「すみだ川」の口絵は斎藤昌三氏の所蔵本を借りて写真版となしたものである。ここに斎藤氏の好意を謝す。

小説『すみだ川』に描写せられた人物及び市街の光景は明治三十五、六年の時代である。新橋上野浅草の間を往復していた鉄道馬車がそのまま電車に変ったころである。わたくしは丁度その頃に東京を去り六年ぶりに帰ってきた。東京市中の街路は到る処旧観を失っていた。以前木造であった永代と両国との二橋は鉄のつり橋にかえられたのみならず橋の位置も変りまたその両岸の街路も著しく変っていた。明治四十一、二年のころ隅田川に架せられた橋梁の中でむかしのままに木づくりの姿をとどめたものは新大橋と千住の大橋ばかりであった。