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しゅんきんしょう

ちくま日本文学014 谷崎潤一郎

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《ちくま日本文学014 谷崎潤一郎(しゅんきんしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,196 字 · 169 頁

青空文庫

紙をすくのは娘や嫁の手業になっているらしく、庭先に働いている人たちはほとんど皆手拭いを姐さん被りにしていた。津村はその、紙や手拭いの冴え冴えとした爽やかな反射の中を、教えられた家の軒近く立った。見ると、標札には「昆布由松」とあって、助左衛門と云う名は記してない。母家の右手に、納屋のような小屋が建っていて、そこの板敷の上に十七八になる娘がつくばいながら、米の研ぎ汁のような色をした水の中へ両手を漬けて、木の枠を篩ってはさっと掬い上げている。枠の中の白い水が、蒸籠のように作ってある簾の底へ紙の形に沈澱すると、娘はそれを順繰りに板敷に並べては、やがてまた枠を水の中へ漬ける。表へ向いた小屋の板戸が明いているので、津村はひと叢の野菊のすがれた垣根の外に彳みながら、見る間に二枚三枚と漉いて行く娘のあざやかな手際を眺めた。姿はすらりとしていたが、田舎娘らしくがっしりと堅太りした、骨太な、大柄な児であった。その頬は健康そうに張り切って、若さでつやつやしていたけれども、それよりも津村は、白い水に浸っている彼女の指に心を惹かれた。なるほど、これでは「ひびあかぎれに指のさきちぎれるよう」