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しゅんきんしょう
ちくま日本文学014 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎
線上閱讀谷崎 潤一郎《ちくま日本文学014 谷崎潤一郎(しゅんきんしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,196 字 · 169 頁
と教えた。そのために討手は襲いかかって王の御首を挙げることが出来たが、老婆の子孫にはその後代々不具の子供が生れると云う話。―――
私は午後一時頃に八幡平の小屋に行き着き、弁当箱を開きながらそれらの伝説を手帳に控えた。八幡平から隠し平までは往復更に三里弱であったが、この路はかえって朝の路よりは歩きよかった。しかしいかに南朝の宮方が人目を避けておられたとしても、あの谷の奥は余りにも不便すぎる。「逃れ来て身をおくやまの柴の戸に月と心をあわせてぞすむ」と云う北山宮の御歌は、まさかあそこでお詠みになったとは考えられない。要するに三の公は史実よりも伝説の地ではないであろうか。
その日、私と案内者とは八幡平の山男の家に泊めて貰って、兎の肉をご馳走になったりした。そして、その明くる日、再び昨日の路を二の股へ戻り、案内者と別れてひとり入の波へ出て来た私は、ここから柏木まではわずか一里の道程だと聞いていたけれど、ここには川の縁に温泉が湧いていると云うので、その湯へ浸りに川のほとりへ行ってみた。二の股川を合わせた吉野川が幾らか幅の広い渓流になった所に吊り橋が懸っていて、それを渡ると、すぐ橋の下の川原に湯が湧いていた。