輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しゅんきんしょう

ちくま日本文学014 谷崎潤一郎

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《ちくま日本文学014 谷崎潤一郎(しゅんきんしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,196 字 · 169 頁

青空文庫

が、試みに手を入れると、ほんの日向水ほどのぬくもりしかなく百姓の女たちがその湯でせっせと大根を洗っているのである。

「夏でなければこの温泉へは這入れません。今頃這入るには、あれ、あすこにある湯槽へ汲み取って、別に沸かすのです」

と、女たちはそう云って、川原に捨ててある鉄砲風呂を指した。

ちょうど私がその鉄砲風呂の方を振り返ったとき、吊り橋の上から、

「おーい」

と呼んだ者があった。見ると、津村が、多分お和佐さんであろう。娘を一人うしろに連れてこちらへ渡って来るのである。二人の重みで吊り橋が微かに揺れ、下駄の音がコーン、コーンと、谷に響いた。

私の計画した歴史小説は、やや材料負けの形でとうとう書けずにしまったが、この時に見た橋の上のお和佐さんが今の津村夫人であることは云うまでもない。だからあの旅行は、私よりも津村に取って上首尾を齎した訳である。

(昭和六年一月~二月)