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しゅんきんしょう
ちくま日本文学014 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎
線上閱讀谷崎 潤一郎《ちくま日本文学014 谷崎潤一郎(しゅんきんしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,196 字 · 169 頁
のである
○
鴫沢てる女はいう、お弟子さんはほんに少うござりましたが中にはお師匠さんのご器量が目あてで習いに来られるお人もござりました、素人衆は大概そんなのが多かったようでござりますと。美貌で未婚でかつ資産家の娘であったからこれはいかにもありそうに思われる彼女が弟子を遇すること峻烈であったのはそういう冷やかし半分の狼連を撃退する手段でもあったと云うが皮肉にもそれがかえって人気を呼んだらしくもある邪推をすれば真面目な玄人の門弟の中にも盲目の美女の笞に不思議な快感を味わいつつ芸の修業よりもその方に惹き付けられていた者が絶無ではなかったであろう幾人かはジャン・ジャック・ルーソーがいたであろう今や春琴の身に降りかかった第二の災難を叙するに際し伝にも明瞭な記載を避けてあるためにその原因や加害者を判然と指摘し得ないのが残念であるが、恐らく上記のごとき事情で門弟の何者かに深刻な恨みを買いその復讐を受けたと見るのが最も当っているようである。ここに考えられることは土佐堀の雑穀商美濃屋九兵衛の忰に利太郎と云うぼんちがあったなかなかの放蕩者でかねてより遊芸自慢であったがいつの頃よりか春琴の門に入って琴三味線を習っていた