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ゆだんたいてき
ゆだん大敵
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《ゆだん大敵(ゆだんたいてき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 20,664 字 · 41 頁
それはなんともぎごちない笑い方だった。例えば不意に殴りつけられて、「痛い」と叫ぶところを間違って笑いだした、そんな風な感じである、そして実際かれは、すぐに笑うのを止めた、笑ったことに自分でびっくりしたような止め方だった。
「いや笑い事ではない」
賢七は眼を怒らせて四人を見た、
「……おれもおかしいとは思ったが、よもやこんなばかげた事とは推察もできなかった、これは愚弄だ、侮蔑というものだぞ、貴公たちすぐに、……いやだめだ、貴公たちではろくな談判もできまい、おれがひきうけてやる」
かれはにっと唇をゆるめて頷いた。
「そうだ、おれが膝詰めで、あのとり澄ました師範をぎゅっと……」
ぎゅっとと云いながら、賢七は両手で力まかせになにかしら絞めつけるような真似をした、四人はなんとも形容しようのない眼で、独りいきりたつ賢七のようすを眺めていた。
それからつい数日のちのことである。
「召す」という知らせをうけて、久之助が伺候すると、忠辰の前に老臣たちが並び、下座のほうに見馴れぬ男が端座していた。色の白い眉の秀でた、眸に少し険があるけれど、世間でひと口に美男という人がらで、端座した姿勢にもなかなかりっぱな風格が表われている。