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チェーホフのたんぺんについて
カシタンカ・ねむい 他七篇
神西 清
線上閱讀神西 清《カシタンカ・ねむい 他七篇(チェーホフのたんぺんについて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 46,418 字 · 92 頁
これは考えなければならぬ事がらである。
次に、チェーホフは果して『イヴァーノフ』を転機として、チェーホンテの笑いを失ったか? この説をくつがえす反証を求めることは一層やさしいだろう。『手帖』は一八九二年から死の年に至る間の彼の覚書の類を集めたものだが、その中にはヴォードヴィルの腹案や、その登場人物のための滑稽な作り名の考案が、殆ど一項目おきに出てくるといっても過言ではない。この『手帖』も彼の日常の言動と同じく、快活と憂鬱の間断ない交替と言って差支えないのだ。また作品を眺めても事情は殆ど変らない。笑劇『熊』は一八八八年の作だし、おなじく『結婚申込』は翌年すなわち『イヴァーノフ』と同じ年の作、おなじく笑劇『心にもない悲劇役者』は更にその翌年の作だ。ずっと晩年に及んで、すでに肺患のかなり進んでいたはずの一九〇一年(結婚の年)には、『結婚披露』『記念祭』の二つの一幕喜劇がある。その上なお、以上のうち『熊』と最後の二喜劇が、いずれも所謂初期の短篇小説の脚色であることを知れば、チェーホンテとチェーホフの間に境の線を入れることの無意味さは益※(二の字点、1-2-22)はっきりするだろう。