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せかいのいっかんとしてのにほん

世界の一環としての日本

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《世界の一環としての日本(せかいのいっかんとしてのにほん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,338 字 · 422 頁

青空文庫

そうでないと予言者になって了う処だが、ただの予言者になって了わない処が彼の学究的資質のある所以である。この歴史哲学者は全く本来の学者の質であるらしい。そういう点から見ると、もはや主張家だと云って了うことも出来ないようだ。彼は分析家でもなく主張家でもない、要するに解釈家だったのである。

解釈家は今日の学究なるものの大部分をなしている。ジャーナリストには案外分析家が多いが、之に反して学究には案外分析家が少ない。多いのが解釈家である。解釈家は文献が主な相手であって文献をいじくり回すことが学究の主な仕事であるのは、どこの国でも大差ない処だろう。三木はそういう解釈家であり、学究であることをその本質としている。事実彼の評論家としての腕はその大きな解釈能力にも拘らず、光ってはいない。特に時評になると三木の良い処は少しも出ないで、凡庸で気が抜けている退屈なものとなる。彼は時評家でなくその限り評論家ではない。実は思想の学究という意味で、正に哲学者と云った方が正しいだろう。この点は先にも云った彼の文体にも現われているので、その文章は事物の刻々のアクチュアリティーを捉えるには、何かお上品に過ぎたり間が抜けていたりして、鈍いのである。