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せかいのいっかんとしてのにほん

世界の一環としての日本

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《世界の一環としての日本(せかいのいっかんとしてのにほん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,338 字 · 422 頁

青空文庫

無論日本には民衆は存在しないのだが、併しそれは日本やドイツに於て次第に失業者がいなくなるという、ああいう仕方に於て、官庁的に見ていないというのだ。だが考えて見ると、日本に一体どれだけの文芸批評が存在するのか、文芸の本当に民衆の立脚点からする批評が、どれだけ存在するのか、ということが問題だ。最近文芸批判というものの文芸上の意義が多少知られるようになって来て、色々の文芸批評の新しい試みがなされるが、どれを見ても文芸の社会大衆による批評へ向かって進むものとは見えない。批評ではなくて、多少とも主観的な偏極した解説の類が、この種の文芸批評の主流のようだ。そしてそういう性の評論がチヤホヤされている。して見ると日本に宣伝大臣が出来て「自由主義」的や「人民戦線」的な批評を禁止するにしても、少しも心配する必要はないようである。そして事実は日本では宣伝官庁の組織はまだ全く未完成なのだが、民衆的批判のない国に、そういう国家機関も不必要だからだ。日本には禁制されるべき程の文芸批評さえないのだ。

日本の支配者、特に政府当局が直接関心するものは、言論である。之は主として内務省と陸海軍省との方針に出る。