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せかいのいっかんとしてのにほん
世界の一環としての日本
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《世界の一環としての日本(せかいのいっかんとしてのにほん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,338 字 · 422 頁
併し海外に居留する日本人の動きなどは、尊重すべきものではない。現地や局地に眼がくれて、それに植民地根性丸出しが多いから、一般社会的な問題にすべき現象ではない。こうした云わば居留民的ショーヴィニズムとは関係なく日本は東洋の平和のために、忍ぶべからざる行為をも忍んで遂行したのだ、ということを忘れてはならないのだ。
一体北支問題は、広田対支外交に基いて日支経済提携が成り立ちそうになった丁度その時に、不幸にして突発したものだった。吾々は折角出来かけた東洋平和の基礎が、際どい処で覆されたと思って失望したのだが、併し雨降って地固るの喩えもある通り、外務省式の二階から目薬的な日支親善の代りに、北支事件の結果成功しそうに見えたものは、もっと手近かの「北支経済援助」だったのである。一般的な日支親善の代りに、北支那に於ける日満経済ブロックが成り立つことになった。つまり、日満ブロックの北支進出ということだ。之が北支の例の緩衝地域の意味でもあったのだ。――だが北支問題の結果は単に北支に於ける日支親善だけではなく、夫が同時に国民党中央部の多少の勢力編成がえを伴った結果、親日派の権力の増大を来したので、一般的な日支親善の実質も亦段々物になりかけて来たと世間では見た。