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いぎょ

中谷宇吉郎集 第七巻

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第七巻(いぎょ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 54,841 字 · 111 頁

青空文庫

第一に、この事件を、キュリイ夫人の場合と比較してみると、非常に興味が深い。キュリイ夫人がラジウムを発見した時には、友人たちから、早く特許をとることを大いに勧められた。しかし夫人は、学問は人類に共通なものであるからといって、特許は一切とらなかった。それで今日、ラジウムに関する限り、特許の心配はいらないのである。

素直に考えれば、キュリイ夫人の心事の方が、たしかに崇高である。フェルミのやり方は、何といっても、少しあくどいという感じがする。しかし考えようによっては、フェルミの流儀にも、立派な言い分があるように思われる。貧乏な伊太利が、あまり豊かでもない懐から、無理に研究費を絞り出して研究する。その結果は、或は人類共通のものかもしれないが、それを実用化する能力のある金持のアメリカが、無料でそのうちから自分に必要なことだけ使うのは、どうも可怪しいともいえる。三十万ドルくらい払うのは当り前だという議論も成り立つであろう。キュリイ夫人の場合と、フェルミの場合とでは、何となく時代がちがうという感じがする。要するに、キュリイ夫人の時代は、良い時代だったのである。

キュリイ夫人の時代を懐しむのもよいが、日本の今の場合は、フェルミ流の考え方にした方がよいのではないかという気がする。