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えいがをつくるはなし

中谷宇吉郎集 第三巻

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第三巻(えいがをつくるはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 46,667 字 · 95 頁

青空文庫

例えば零下十五度の氷粒と零下三十度の氷とが触れ合うと、冷い方が正に帯電し、比較的温い氷が負になるというようなことが分ったのである。大きさについても同様なことがあるのであるが、その外にも、結晶形が可成り重要な問題になるらしく、まあ本式の仕事はこれからである。

この仕事の中で、ちょっと面白いのは容器の問題である。氷粒が他の物質に触れ合うと、そこで著しい電気分離を起して、結果を目茶苦茶にしてしまうので、Y君はビーカーだの皿だのを、全部氷で作って、一切の操作を氷の容器でやることにしている。この室の中は、年中零下二十度以上にはならぬので、水の常態は固体であり、その点ちょっと便利なこともある。雷の電気の成因が本当にすっかり分ったら、一つ氷のコップで葡萄酒の乾杯くらいはしても良いかもしれない。

以上で主室内の実験装備の配置は大体つくしたが、その外に、作った雪の顕微鏡写真撮影の装置が実験台の隙間に備えつけてあったり、邪魔にならぬところには棚をつけて、その上に植物の種が沢山貯蔵してあったり、八畳の実験室もまあ遺憾なく利用されている形である。植物の種は、何ヶ月か零下三十五度に保っておいて、それを蒔いた時の発芽率とか、冷害に対する抵抗力とかを調べるのだそうである。