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えいがをつくるはなし

中谷宇吉郎集 第三巻

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第三巻(えいがをつくるはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 46,667 字 · 95 頁

青空文庫

途中菓子が切れて困ったという飛報があったくらいで、外に大した故障も起らなかった。菓子の話は冗談ではないので、毎朝早く弁当のパンを持って白銀荘へ出かけ、夕食に一寸宿に帰るだけで、夜は雪の次第では、夜中の十二時過ぎまでも、零下十五度のところに立ちつくすこともある。そういう場合、菓子は立派に弾薬の一種なのである。

愈々引き上げという前になって、私は今一度十勝へ上った。もう三月の声をきくのも間もないこととて、流石に寒さはずっと軟いでいた。

ちょうど着いた日に、大形の美事な樹枝状結晶が盛んに降っていた。この結晶についても実は知りたいことが一つあった。今まで雪の結晶の代表的なものとされていたので、ベントレイの蒐集などでは、殆んどこの型だけを集めてあると言ってよいくらいのものである。それでいて、肝心な点が分っていなかったことにこの頃になって気がついた。

この結晶は六花の平面結晶であるから、六角柱の底面内に発達したものである。そうすると、氷晶の時代に六角柱の骸晶、いわば鼓の一種であったものの一底面が伸び出たと考えるのが一番自然であろう。もしそういう経過で出来たものならば、中心部に初めの骸晶があって、全体を横から見ると、ちょうど鉄道のマークの工の字形に見える筈である。