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けんのよんくんし
剣の四君子
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《剣の四君子(けんのよんくんし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,514 字 · 22 頁
応仁の乱以後、室町幕府の紊乱につけこんで、京都に簇出した浪人くずれの無頼者の一団である。
しかし、その京都や浪華でも、近頃は取締りが厳しくなった。近畿や地方の都会でも、信長とか、朝倉家とか、徳川家などの武将が、自己の領政に厳密な改正を加えている折なので、浮浪人や暴徒の横行する世間はだんだん狭められていた。
で、自然、武将の勢力や統治の行き届かない片田舎へと、茨組なども流れて来た。同時に彼等の持前とする殺戮と兇暴な質も、野に返った野獣と同じで、とても人間の仕業とは解し得ないことを平然とやって歩いた。
「お静かになさい。騒ぐことはありません」
甚助は、信国の一腰を横たえて、裏戸を開け、墻を躍って、表の土塀門のほうへ迫って行った。
信濃の名物という月がその晩も煌として中天にあった。外から窺っていると、大槌や棍棒で打ち壊したらしい門内へ、およそ三十人ばかりの賊がなだれ込んで、土蔵を破壊し、全家族を縛し上げ、手燭を持ち廻って、大がかりな掠奪にかかっている様子であった。
どんな人間どもかというと、その頃の世相を見て書いた「室町殿物語」に依ると、茨組の風俗をこんなふうに写してある。