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けんのよんくんし
剣の四君子
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《剣の四君子(けんのよんくんし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,514 字 · 22 頁
ソノ装束ハト見レバ、茜染ノ下帯、小玉打ノ上帯ナド、幾重ニモマハシ、三尺八寸ノ朱鞘ノ刀、柄ハ一尺八寸ニ巻カセ、ベツニ二尺一寸ノ打刀モ同ジ拵ヘニテ仕立テ、ソギタテ鑓、掻持テルモアリ、髪ハ掴ミ乱シテ、荒繩ノ鉢巻ナドムズト締メ、熊手、鉞ナド前後ヲカタメ、常ニ同行二十人バカリニテ押通ルヲ、「アレコソ、当時世ニ聞ユル茨組ゾ。辺リヘ寄ルナ、物言フナ」トテ人々怯ヂ怖レテ道ヲヒラキケル。
悪党でも派手を誇る時代だったから、それは洛内の見聞であったろうが、いずれはそんな部類の雑多な扮装をしていたにちがいない。それと武器は流行の長柄が最も多く、槍、山刀、鉞、槌なども持ち歩いていたらしく思える。
やがて屋内の悲鳴や物音が少しやむと、その寂寞の中から、三人、四人と外へ出て来た。目ぼしい家財を担いで来るものもあり、金や女を盗んで戯れながら、出て来る男もあった。
甚助は、ふいに、前へ立って、
「待てっ」
と、云った。
待て――と聞えた時はもう、彼の大剣の左右に、二つの死骸が一度に薙ぎ仆されていた。仰天して逃げ込もうとした男も一名は後ろ袈裟に、一名は腰ぐるまを払われて、醜い胴を地へ転がした。