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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《剣侠受難(けんきょうじゅなん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 頁

青空文庫

明払暁まで

こういったのは柴田三郎兵衛。

「これは潔い。さあさあいわれい!」つづいていったのは長崎左源太。

「拙者の書いた隠語でござる! 拙者が明かすに不思議はない!」

「案の定だ、貴殿書いたか!」ここで三郎兵衛ジリリと寄った。

「柴田氏」と冷やかに、将右衛門むしろ笑ったものである。

「が、その前に聞きたい一義、隠語どうして現われましたかな?」

「巻軸二本泉水に捨てた!」

「誰が?」とあごを突き出した。

「紀州大納言頼宣卿!」

「ほほう面白いお殿様で」

「と、巻軸水にぬれ、おのずと解けたそのおもてへ……」

「ワッハハハ白々と、明礬水で書かれた文句、隠語ともいえない平凡な奴が、あらわれましてございますかな」もう一度高く笑ったが、「――二個の唐櫃あずかりたる者、木地師の頭領富士見の将右衛門――さよう、こんなようにな」

「そいつを渡せ!」と今度は左源太。

「なぜな?」と将右衛門、差し出すあご。

そいつがにくいというように、「巨宝一人占め、まかりならぬよ!」これもやっぱり左源太であった。

「なに巨宝? これはこれは、天眼通とみえまするな」揶揄するように将右衛門、「だがその眼力、狂っていやしょう」