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よじげんひょうりゅう
四次元漂流
海野 十三
線上閱讀海野 十三《四次元漂流(よじげんひょうりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 63,363 字 · 128 頁
(おやッ!)
道夫は、心の中で、おどろきの声をあげた。それは、こうして眼の前に、椅子に腰をかけている雪子の姿は見えていて、たしかにそこに生きている雪子がいることが感ぜられるのにもかかわらず、よく気をつけていると、ときどき――それはほんのまたたきをするほどのわずかの時間ではあるが――ふいに雪子の姿が消えてなくなり、卓子のむこうにはただ椅子の背中だけが道夫に向いあっていることがあるのだった。道夫はそれに気がついてぞっとした。なんという気味のわるいことだろうか。
ところがしばらくすると、その椅子に、前のとおりに雪子がちゃんと腰を下ろし、道夫へ向いて、さっきと同じような姿でいるのであった。しかも、そうして雪子が椅子の上にもどってきても、音一つするのではないし、雪子の表情もかわらず、まことにふしぎなことだった。
しばらくすると、また雪子の姿が、道夫の眼の前からぱっと消えて、椅子の背中だけになってしまう。とまた雪子の姿があらわれるのであった。
こんな奇怪なことがくりかえされるので、道夫は自分の神経がどうかしたのではないかと疑った。だが神経のせいではないらしい。