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よじげんひょうりゅう

四次元漂流

海野 十三

線上閱讀海野 十三《四次元漂流(よじげんひょうりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 63,363 字 · 128 頁

青空文庫

ぼろぼろの服に身体を包んだ雪子学士のあやしい影が、机のむこうから、悲痛な顔つきでもって、一所けんめいに道夫少年をかきくどいているのだ。

「幽霊を見るのは気のまよいだといわれているでしょう。この世の中に幽霊なんてありはしないといわれているわねえ。でも、幽霊というものは、ないわけではないのよ。道夫さんは今あたしをたしかに見ているでしょう。気のまよいじゃないわねえ。ところがあたしは、一種の幽霊なのよ。この世の人ではないのよ。うそだと思ったらあたしの身体にさわってごらんなさい。さあ、さわってみてよ。道夫さん」

そういわれて道夫は、気味がわるかったけれど、雪子のことばにしたがわないわけにもいかないので、椅子から立上ると、手をのばして机越しに雪子の腕をつかんでみた――いや、つかんだつもりだったが、実際は手ごたえがまるでなく、何にもない空間をかきまわしているのと同じだった。しかも眼で見ると、そこにはちゃんと雪子の身体がある。道夫は冷水を頭からあびたようにぞっとして、手を引込めた。

「ほほほほ、そんなおっかない顔をするものじゃなくてよ」

雪子は顔をゆがめて笑った。