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よじげんひょうりゅう
四次元漂流
海野 十三
線上閱讀海野 十三《四次元漂流(よじげんひょうりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 63,363 字 · 128 頁
そのとき彼は、雪子がもがきながら、後へ上半身をねじって、川北先生を突きはなそうと懸命に力をだしているのを見てとった。雪子姉さんは何かを誤解しているのであろう。そんなことをしないで、おとなしく川北先生の腕の中に引き留められていればいいのにと道夫は思った。
川北先生は、雪子の懸命の反抗にも、忍耐づよくこらえている様子だった。彼は雪子を後から抱きすくめたまま、金輪際はなそうとはしなかった。
が、そのときである。道夫はにわかに、予期しなかった不安に襲われた。というのは、互いに搦みついている二人の姿が急にぼんやりしてきたからである。
「先生、どうしたんです……」
そういう間にも、揉み合った先生と雪子の姿は、ますますぼんやりしてきて、やがて道夫の眼には見えなくなった。彼は息のとまるほどおどろいた。
彼は、それでもまだその異変がそれほどおそるべきこととは気がつかず、或いは眼の見まちがえかと思いながら、無理に芝生に立上り、よろめきながら、現場に近寄った。
二人の姿は、完全になかった。
するとどこかの木蔭へかくれたのかと思い、庭園のあちらこちらを探したが、雪子姉さんの姿はもちろん川北先生の姿さえ、どこにもなかった。