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よあけまえ

夜明け前

島崎 藤村

線上閱讀島崎 藤村《夜明け前(よあけまえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 205,629 字 · 408 頁

青空文庫

店座敷ではまだ起きさっせんかなし。」

おふきは※苞につつんだ山の芋にも温かい心を見せて、半蔵の乳母として通って来た日と同じように、やがて炉ばたへ上がった。

「おふき、お前はよいところへ来てくれた。」とおまんは言った。「きょうは若夫婦に御幣餅を祝うつもりで、胡桃を取りよせて置いた。お前も手伝っておくれ。」

「ええ、手伝うどころじゃない。農家も今は閑だで。御幣餅とはお前さまもよいところへ気がつかっせいた。」

「それに、若夫婦のお相伴に、お隣の子息さんでも呼んであげようかと思ってさ。」

「あれ、そうかなし。それじゃおれが伏見屋へちょっくら行って来る。そのうちには店座敷でも起きさっせるずら。」

気候はめずらしい暖かさを続けていて、炉ばたも楽しい。黒く煤けた竹筒、魚の形、その自在鍵の天井から吊るしてある下では、あかあかと炉の火が燃えた。おふきが隣家まで行って帰って見たころには、半蔵とお民とが起きて来ていて、二人で松薪をくべていた。渡し金の上に載せてある芋焼餅も焼きざましになったころだ。おふきはその里芋の子の白くあらわれたやつを温め直して、大根おろしを添えて、新夫婦に食べさせた。