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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

彼等の一組が御代官陣屋の方を指して行くと、

「あ、赤児の泣く声が聞えるではないか、諸君」

と言うものがありました。

「なるほど」

と言って耳を傾けました。なるほど、赤児の泣く声がするのであります。それも家のうちで泣いているならなんのことはないけれど、家の外、町から町を泣き歩いているもののようであります。

だから少年たちはまた一かたまりになって、

「ハテ、この夜中に子供が泣きながら道を歩いていようとは……」

「モシモシ」

その厚くて濃い闇と靄の中から、不意に言葉がかかりました。それは子供の言葉ではなく、

「少々承りとうございますがね、わたしの女房はどこへ行ったんでございましょう、わたしのおかみさんはどこへ参りましたろう、まだ帰って参りませんよ」

少年たちは、そのあまりに不意の言葉に驚かされてしまいました。それは寧ろ怖ろしいくらいで、

「誰じゃ、どなたでござるな」

と誰何しましたけれども、それを耳に入れる様子はなく、それとは相反れた方へ行ってしまいながら、

「もしもし、少々物を承りとうございますがね、わたしのおかみさんがまだ帰って参りません、女房はどこへ参りましたろう」